エピローグ
悪夢は終わったのだ。
あれだけ泣いていたというのに、今度は何故かそれがおかしくなって、笑い合う。
「あはは……っ、……?」
ふと、食堂の扉に少しだけ隙間が出来ていることに気付いて、ルーティは抱き付いていたゲムヲをぐいと引き剥がした。
「えっ、おにぃ!?」
野生の勘というやつか、それが何だったのかはすぐに分かって。次の瞬間には集団から抜け出し、ルーティは走っていた。
食堂の扉を開き、飛び出して。
「あっ」
黒い人影を見つけて、ルーティは駆け足で追いかける。それを追いかけている内に玄関に辿り着き、扉を押し開くと――
「……よっ」
温もりを感じさせるそよ風が、見知った金色の髪を靡かせる。黒い人影の正体はぽつりと声を洩らし、ゆっくりと振り向いた。
「スピカ……」
ルーティは静かにその名前を口にして。