エピローグ
◆エピローグ
長い夢を見ていたようだった。
誰に起こされたわけでもなくゆっくりと瞼を開いて、ルーティはのっそりと上体を起こす。窓は開いており、そこから吹き抜ける温かな風がカーテンを靡かせていた。
小鳥の囀りが聞こえる。枕元の目覚まし時計を見ると、時刻は午前八時過ぎを指していた。――何の変哲もない朝である。
私服に着替えて、部屋を出る。
廊下は驚くほど静かで、しかし、違和感を感じなかった。色々と疲れもあるだろうし、皆まだ寝ているのだろう。
「……あれ」
何かが引っ掛かっている。気がした。
「どーんっ!」
そう思っていたら、突然後ろから突撃されたのだから驚きである。驚いた、割にはルーティも大して声は上げなかったが。
「よせ。みっともない……」
「朝の挨拶だしぃー」
ルーティはゆっくりと振り返る。