最終章
「よし、っ!」
その時だった。やって来たスピカが、剣を持ったトゥーンの手首を掴んだのは。
「お兄さん……」
スピカはするすると肌の上を伝って剣の柄を握る手に添えると、ぽつり。
「俺に、やらせてくれないか」
トゥーンは目を開いて。
「……未熟すぎたんだ。成長は月日じゃない、経験なんだって。甘やかせすぎた」
スピカは視線を落とす。
「いや……自分が甘えていたんだ」
ダークシャドウが闇に堕ち、囚われた数日間。スピカはぐるぐるとそんなことばかり考えていた。――今回の事件は。
自分の甘さが招いたのだ、と。
「……、」
トゥーンが手を離すと、スピカは微笑を残して剣を手にゆっくりとダークスコアの元へ。禍々しくどす黒いオーラが周囲の空気を圧迫して、近付くだけで息苦しい。