最終章



耳を劈くような悲鳴を上げて、ベンゼルの魂は弾け、粒子に変わった。

それは空中でぐるぐると渦を巻いていたが、やがてそれまで宙に浮いていたダークスコアの中へと吸い込まれていってしまい。

「っ、は……」

リムはその場に膝を付いて。

――終わっていない。彼は最後の足掻きにと人々の魂を楽譜の中に閉じ込め、終止符になろうとしている。そんなこと、許したら結果は何も変わらない。

でも、ここで彼を解放すればそれこそ同じことの繰り返しだ。どうすれば……

「トゥーン!」

声を張り上げたのはピチカである。

「っ……剣を、」
「え」
「剣を!」

ダークシャドウに操られていたとはいえ、体力は既に搾り取られてしまっている。

それでも、トゥーンはピチカの声に小さく頷いて、近くに落としてしまっていた己の剣へと手を伸ばし、その柄を握って。
 
 
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