最終章
「っ、リム……?」
優しい歌声が、ホールに響き渡る。
しかしその声は時折掠れ、その上途切れそうで安定しない。が、ベンゼルの魂は慌てたように忙しなく飛び回って。
「逃がすな!」
スピカがすかさず声を上げると、窓から飛び出そうと試みたベンゼルの魂の行く手を阻むように、ダークシャドウの誰々が立ち塞がって。ベンゼルの魂はゆらゆらと後退し、逃げるようにホールの中心へ。
「くっ」
フォックスやファルコが銃撃を試みるが、的が小さく、且つ素早いお陰でなかなか当たらない。このままじゃ埒が――
「……歌、」
ぽつりと声を洩らしたのは、シフォンが抱き起こしたネロだった。傍らに膝を付いていたローナは怪訝そうに見つめて。
「あいつが……教えて、くれたろ……」
痛みに顔を歪め、ネロは咳き込んで。
「歌で、絶望は……払える、って……!」