最終章
洗脳されていたはずだ。彼らが自ら望んで、奴らの体を解放したというのか?
――そういうこと。
頭の中に響いたその声は、ダークトゥーンのものだった。どくんと心臓が大きく鼓動して、ベンゼルは大きく目を開く。
「ぁ……ッ」
苦しい。身体中に痛みが走って、息をするのも儘ならない。ベンゼルは遂にその場に両膝を付くと、背を反らし、天を仰いで。
――我々には、リーダーがいる。
「そんな……ただの、人間……に……」
――違う。が、理由を説明してやるつもりはない。……出ていってもらおう。
「ぅ、ぐ」
気持ち悪い。が、ここでこいつの体を手放せば、自分は情けないあの姿に戻ってしまう。分かっている、でも、もう。
どくん。
「あ、」
このままでは魂が持たない――