最終章
「くく……もう少しだ。もう少しで」
地面の揺れが大きい。辺りは不穏な空気に包まれ、ベンゼルも勝利を確信したかのように沸々と不適に笑い始める。
「この世界は終焉へと導かれ、私が望んだ新たな姿へと生まれ変わる……!」
「っは、何だよそれ」
スピカは笑って。
「悪魔にも厨二はいるってか……?」
「何とでも言うといい。そんなものは」
「賢くねえな、ほんと」
どうして彼はこんなにも余裕なのか。
ベンゼルが不審に思っていると、スピカは小さく溜め息を吐き出して、続けた。
「いいよ。たったの数日、扱き使う為だけに過ごしたんだ。分かってたまるかよ」
沢山の気配に囲まれている。
思わず演奏を止めて、ベンゼルは辺りを見回す。その正体が分かった途端、ベンゼルの体の自由は利かなくなってしまい。
「く……っ」
「随分と、弄んでくれましたね」
「返してもらおうじゃねーの。……いや」
その声はくすくすと笑って。
「出てってもらおうか。その体から」