最終章



認められるはずがなかった。

自分の行いこそが正しいのだと。その為に現代にまで蘇り、闘ってきたのだと。

「貴方のは、ただの雑音よ」
「くっ」
「人々をただ、苦しめるだけ……誰の為にもならない、自己満足でしかないの」
「黙れ!」

ベンゼルは声を荒げて。

「五月蝿い、五月蝿い! どうして私の行いを否定する! これだから……っこれだから、人間という生き物は……」

にやり、不意に口角を吊り上げて。


「大嫌いだ」


――刹那、ふっとホールの照明が落ちて辺りは真っ暗闇に。そんな中でバイオリンの音が鳴り響き、静かに音楽を奏で始める。

「っ、な」
「無駄だ。この暗闇の中、お前達人間は動くことは敵わない。彼らが人間の体を借りているので、使いづらかったが……」

まるで取り押さえられているかのように、ルーティはその場から動けずにいた。

音が無い辺り、それは皆同じ。歯痒い、ベンゼルが何処にいるのかは、バイオリンの音を辿れば分かるというのに――
 
 
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