最終章
一方のベンゼルは焦っていた。
もう少し、というところで曲を奏でていた、詰まる所ダークリンクが中にいる本物のリンクに妨害されてしまったのだ。
永遠に逃れられない悪夢の中に閉じ込めたはずなのに、どうして。しかし、次第に音が止んでとある声がホールに優しく響き渡れば、ベンゼルもようやく理解する。
「っさせるものか……」
必ず、野望を叶えてみせる。
ベンゼルがタクトを振り上げれば、ダークスコアはより一層赤黒い光を灯して、やがて、波紋のように解き放つ。マルスの体がびくんと震えて、ふらり、立ち上がった。
「やれ……あの小娘を……」
ベンゼルはタクトを打ち払って。
「殺れ!」
次の瞬間、マルスは駆け出していた。
構えるルーティの横をすり抜け、無防備にただ歌を口吟む、リムの元へ――