最終章
刃と刃がぶつかり合う、金属音。銃声。
息遣い、床を踏み鳴らして駆ける音。剣が降り下ろされたその瞬間、ルーティは無抵抗のまま瞼を瞑ってしまっていた。
訪れるはずの痛み。うっすらと瞼を開き、噴き出すはずの鮮血が視界に映らないことを確認して、ルーティは目を凝らす。
――聞こえていますか。
「っ、あ……」
ベンゼルははっと目を開き、呻き声がした方向に目を向ける。リンクの手から、オカリナが音を立てて床に落ちる。
どういうことだ。
ベンゼルは顔を顰める。攻撃は加えられてないというのに、こいつ。どうして。
「て、め……っ何で、出て……」
リンクは頭を抱え、その場に跪く。
誰と話している? いや、そんなのは分かっている。が、有り得ないことなのだ。
「っ……出ていって、くれます……?」
ダークスコアの力にかかれば。
「俺の、体ですよ……?」
本物側の精神が呼び覚まされる、なんて。