最終章



「っあはははは!」

歌声を耳にするとベンゼルは一旦、タクトを振る手を止めて、声高らかに笑い始めた。ベンゼルはにんまりとして。

「懺悔の唄か? くく、本当に人間は面白いことを思い付く。そんなことをしたところで、このダークスコアの前では」

ぶんとタクトを薙ぎ払えば、ベンゼルの懐からするりと一枚の楽譜が抜け出して、そのままふわふわと宙に浮かんだ。

漆黒に塗られた楽譜には白い光を放つ音符が浮かび上がり、また、楽譜自身も赤黒い光を灯している。――もしかして。

「ウルフ!」

あの楽譜さえどうにかすれば!

ルーティが声を上げると同時に、ウルフは銃を構えて発砲した。しかし、確かに楽譜に銃弾を撃ち込んだはずなのに、楽譜には傷一つ付いていなくて。

「人間ごときがッ」

その隙にマルスはルーティに詰め寄り、剣を振り上げて。咄嗟のことに対応出来ず、ただはっと目を開いて立ち尽くす。

「ベンゼル様に!」
 
 
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