最終章
「っ、ち」
頬に一発喰らいよろめいたが、何とか此方の回し蹴りもヒットした。ウルフは蹴り飛ばしたファルコを睨み、小さく舌打ち。
「げほ、ごめ……っウルフ……」
咳き込み、ウルフの後ろでルーティはふらりと立ち上がる。何も答えないウルフの隣に立って、自分の右手を見つめる。
――体内に残っている電気も、残り少ない。一掃する為とはいえ、少し使いすぎてしまったようだ。ルーティは拳を握って。
「大丈夫。まだいけるよ、ウルフ」
ここで、倒れるわけにはいかないんだ!
ルーティは顔を上げると、駆け出すべく一歩踏み出した。と、その時――ウルフの狼耳が何かを拾い、反応を示したのだ。
「っ、え」
ウルフは遮るように腕を横に伸ばし、ルーティを留める。今まさに此方へ向かおうとしていたフォックスやファルコの足も止まり、ルーティは目を丸くして。
優しい声が緩やかなリズムに乗せて、ホールに響き渡る。心音が安らぐ――これは。
「歌……?」