最終章



「っ……俺は、嫌だ」

最後の力を振り絞ってぎりぎりと押し合いながら、ネロは声のトーンを落とす。

「こんな、頭が痛くなるような……曲が、世界の終焉を告げる子守唄、なんて……っ絶対、に……認めねえ……ッ!」

しかし、リムはただただ首を横に振る。

「もう間に合わないわよ! それでも、誰も恨んだりなんかしないわ。誰も……」
「簡単に諦めてんじゃねえよ!」

辛そうに眉を顰めるのは、心境なのか、状況なのか。押し負かされそうになりながらも足を踏ん張り、ネロは息を呑む。

「俺の……」

歯を食い縛り、語気を強めて。


「俺の惚れた女は、そんな弱っちょろい奴なんかじゃねえ!」


リムははっと顔を上げた。

こんな時に何を、と声を洩らすよりも先に、ネロは少しだけ此方に顔を傾けて、ふっと笑みを溢す。その隙に防御の手が緩み、アイクは剣を振り翳した。

「違うだろ? お前の大好きな歌ってヤツは。……証明しろよ。こんなのは違うって」
 
 
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