最終章



奇怪な音楽が鳴り響く。

頭痛を感じないのは我々人間への罰ではなく、世界に捧げる終焉の曲だからだろうか。間もなく、地面が大きく揺らいで。

「リム!」

炎が途切れ、リムを庇うように抱き締めて横に飛び込む。背後に気配を感じてネロは身を起こしたが、刹那、目を開いて。

「ぁ……ッ」
「ネロ!」

マルスが剣を背中から腹部にかけて、突き刺したのだ。視界が眩んだが、振り向き様にマルスを蹴り飛ばし、後ろに手を回して剣を引き抜く。傷口から鮮血が、溢れる。

「……や」

ネロは剣を構えると、正面から向かってきたアイクの剣を受け止めた。リムは彼を目の前に、ぽろぽろと涙を溢していて。

「やめて! いいの、もう……い」
「よくねえ!」

ネロは声を荒げて。

ふと視線を送るが、誰もがこの戦況に苦戦している。それでも、立っているのだ。

――絶望じゃない未来を、信じて。
 
 
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