第一章



しかし、いつまで経っても頬に痛みは襲ってこないのでゆっくりと瞼を開くと、ダークリンクはスピカを強く抱き締めて。

「……リーダーは、生きなきゃいけない」

そう告げては体を離し、ダークリンクは少し寂しそうにスピカに笑いかける。

「リーダーは俺達にたくさんのことを教えてくれた。生きる希望なんだ。あいつらだって、死んだわけじゃない」

スピカは再び俯いた。

ダークリンクはスピカから離れると、横切り、背中を向けては基地を見つめて。

「それに、俺達は死んだところでマスターに頼めばまた造ることが出来る」

ダークリンクはスピカを振り返り。

「……俺達がどうしても生きてほしいのは、俺達が兵器で、リーダーが人間だからなんだ。死んでほしくなんかないんだよ」


――戦いの真っ只中で、死んでほしくないと嘆くのは甘ったれた考えなのだと、それはダークリンクも分かっていた。

それでも。

世界よりも何よりも守りたい、温かな希望。最も大切で、大好きな人だから。
 
 
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