第八章



「今のは……」

あれは、何だったのだろう。

ルーティが声を洩らすと、スピカは再び呻いて。ダークウルフはその場に跪き、抱き起こすような姿勢で顔を覗き込む。

「……ぅ」
「リーダー!」

スピカは閉じていた瞼をゆっくりと開いて、ダークウルフの姿を視界に捉えた。


彼の、瞳は……


「リーダー!」
「……るせ」

光を取り戻していて。

「るっせ……聞こえてる、っての」

スピカは口元に笑みを浮かべ、ぽろぽろと涙を溢すダークウルフの頬を撫でる。

「リーダー!」
「るせぇ耳に響く」

スピカは頬を撫でていた手で抓って。

ダークウルフは「はい」と返して、嬉しそうな笑みを溢す。――スピカは。

「にぃに!」

悪夢から覚めたのだ。
 
 
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