第八章



「……どうだったよ」

スピカを部屋に運んだ直後のことだった。

せめて傍に居たいと溢すピチカと、スピカが目覚め、洗脳により暴れだす可能性を踏まえてユウの二人だけは部屋に置いて、リムは一人部屋から出てきた。

そんな彼女に声をかけたのはネロである。

腕を組み、部屋の扉のすぐ横の壁に凭れていた彼は、リムを横目に捉えて。

「……暫くは、大丈夫だって」
「お前は」

ネロはすっと目を逸らして。

「……大丈夫、なのか」

沈黙が訪れる。

リムは扉を挟んでネロとは反対側の壁に凭れかかると、視線を落として。

「……私ね」

ネロは口を閉ざしたまま、耳を傾けて。

「あの曲を聞いた時、何となく違和感を感じた。何処かで聞いたことあるって」

冷静になって考えた。

何度も繰り返し、再生した。本当はもっと優しくて、大好きだった……あの曲は。


あの曲は――
 
 
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