第八章



嘘を付いてまで守ってくれたこいつらに。


俺は、また。


「……ユウ」

そんなのは許さない。

スピカはもがくダークウルフを留めながら、静かにその名を呼んだ。ユウはゆっくりと立ち上がると、眉を顰めていたが。

「……まさか」

察して、大きく目を開いた。

「そんなことをすれば」
「出来るんだな」
「スピカ!」
「分かってる!」

スピカは顔を俯かせて。

「……分かってる。怖いよ、俺だって」

ルーティも、そして他の誰もが察してしまった。が、誰も口出ししようとはせず。

「けど、それでいいんだ」

ユウはすっと目を逸らしたが、静かにスピカの元へ歩を進めて。スピカは瞼を閉じ、やがてユウはスピカの後ろへ。

「そうすることで、せめて」

こいつだけでも。
 
 
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