第八章
放たれた稲妻はベンゼルの真横を通過し、続いて目の前に飛び込んだルーティによる蹴り上げがベンゼルを襲う。
「ッ、」
首を反らし、顎を掠めたが何とか躱した。
しかし間を空けず、背後から詰め寄ったウルフが低く飛び上がりつつ側面に回り込み、脇腹目掛けて回し蹴り。
同じタイミングでルーティも飛び上がっては首後ろ目掛けて回し蹴りを仕掛け、その両方が上手くヒット。ベンゼルは体勢を崩しながらもタクトを払い、煙状化。
黒い煙に変化したベンゼルはルーティとウルフの元を離れ、実体化すると跪いて。
「っ……約束だ。この場は撤退しよう」
「ベンゼル!」
「だが。この星の未来は絶望だ」
ベンゼルはまた、煙状化する。
「それは変わらない――」
そして、掻き消すように消えた。
他のX部隊メンバーも憑依したダークシャドウの能力で次々と煙状化し、同じく掻き消すように消えて。――沈黙が訪れる。