第八章



刹那、銃声が二発。

銃弾はベンゼルの右肩と左胸を撃ち抜き、ベンゼルはネロを解放すると数歩後退した後に跪き、眉を顰めては顔を上げて。

「っは……っは……」

そこにはなんと、銃を構えて立っているウルフの姿があった。もちろん、彼の右目は元の赤紫色で、光が宿っている。

「こんな、ことが……ッ」

ベンゼルは右肩の傷口を左手で押さえながら立ち上がると、ウルフを睨み付けて。

「っ……残念、だったな」

そう挑発的な笑みを浮かべるウルフだったが、何処か辛そうである。それというのも恐らく、まだ中にいるダークウルフが行動を制止させようと抵抗するからだろう。

「ベンゼル!」

後方に着地したルーティが手を突き出し、稲妻を放ってから追うように駆け出す。

ベンゼルは振り向き、小さく舌打ち。
 
 
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