第八章
「ぐあっ! ぁ、ッか……!」
薙ぎ倒された挙げ句、ベンゼルに髪を鷲掴みにされ、苦痛に顔を歪ませるネロ。
互いに背を預け合って構えるユウとリオンも、息を弾ませてふざけた会話を交わす余裕もない。戦闘に参加したリムもぼろぼろで、今にも崩れ落ちそうだった。
「だから人間は愚かだと言うのだ」
どうして。そうまでして守りたいのか。
この世界にそれほどの価値があるとは到底思えない。まあ、光に生きた彼らには、言い知れぬ愛着というものがあるのだろう。
「ま、だ……っ」
リムがふらつきながらも駆け出したが、立ち塞がったゼルダの魔法により、弾き飛ばされてしまった。遠く離れた地面に転がって横たわり、それでも尚、腕を震わせながらその身に鞭打って起こす。
絶望でしかない、酷い光景だった。
これ以上は戦えないだろう。クレイジーは小さく息を吐き出し、目を細める。
「だから、言ったのに」
さっさと諦めていれば、自分だけでも無事だったのに。――その通り、愚かだよ。
あんた達、人間は。