第一章
「っ……何なんだよ、あの曲は!」
基地から出ると前奏は聞こえないも同然で、今まで耳を塞がなかったダークリンクとダークルイージはその場に跪き。
頭の中で、繰り返し聞こえてくる。まるで、植え付けられてしまったかのように。
「おっおい! 大丈夫なんじゃ」
ダークウルフに吐かれた嘘を嘘とは知らず、スピカは二人の身を案じて。ダークリンクは苦笑混じりに立ち上がると。
「……そうだったな」
頭を押さえながら、基地を振り返り。
「今まで仲間だった奴が、いきなり攻撃を仕掛けてきやがるから頭が痛くなったんだ。それだけだよ、リーダー」
またここで心配させるわけにはいかず、ダークリンクは嘘に嘘を重ねて微笑む。
その辛そうな表情にスピカは半信半疑だったが、間もなくダークルイージが何事も無かったかのように立ち上がり、ぐっと体を伸ばす様を見れば安心して。