第八章
「馬鹿ッ、離せ!」
「嫌だ!」
振り払おうとするウルフの手を強く握って、ルーティは走り続ける。もちろん、ここから脱出出来るという保証はない。
証拠に、走っても走っても暗闇が続いている。前に進んでるかどうかも定かではない。背後から聞こえる呻き声が不安を煽る。
「絶対、ウルフとここを出るんだ!」
最後まで諦めるもんか。
逃げることを繰り返すのは嫌なんだ!
「っここは悪夢の中だぞ!」
「そうだ……ここは悪夢の世界……」
ウルフの声に応えるように、暗闇に響き渡るダークウルフの声。ルーティは顔を上げて。ダークウルフは小さく笑みを溢し、
「永遠に出ることは敵わない。あんたの罪は重すぎた……誰も、あんたを許さない」
ウルフは眉を顰める。
全く、その通りだと悟ったのだろう。ルーティは顔を俯かせていたが、ぽつりと。
「……だったら」