第八章
「驚いた。随分とパートナーに依存してるじゃねえか。……何をしに来た」
「助けに来た。ウルフを」
間を空けず、即答するとダークウルフは前髪を掻き上げて。彼の左目の瞳には赤黒い光が灯り、にやりと口角を吊り上げる。
「そりゃあ、御苦労なことだな」
右腕を横に伸ばし、ぱちんと指を鳴らす。
すると何処からともなく呻き声が聞こえてきて、地面の中から人間が現れた。
ルーティは思わず息を呑む。人間、といっても皮が捲れ、肉が爛れた姿は明らか普通ではない。腐敗しているようなのだ。
「よくも……私を……」
「殺したな……」
次々と地面の中から現れては呻く彼らの瞳は濁り、焦点は定まっておらず、それでもその台詞は誰かに向けられていたようで。
「あ……ぁ……」
そう。彼、ウルフに。
今更ながら、ルーティは理解する。これはウルフが恐怖する悪夢の世界なのだと。