第八章
「やめ……ッあ、ァ……!」
ウルフだ。何に怯えてるかはこの目で見えないので分からないが、ルーティは急いで駆け寄ると彼を抱き起こして。
「ウルフ!」
「……ぁ……あ……っ」
それまで閉じていた右目がゆっくりと開かれた。喘ぎながらルーティの姿を視界に捉えるが、その瞳には光が宿っていない。
全てを諦め、絶望した目――
「ウルフ」
「に、げろ」
ルーティは目を開いて。
「逃げろ……っじゃねえと、殺され……」
ウルフは怯えたように瞳を揺らす。
「ぁ……ッや……また、来……!」
足音。ルーティが振り返ると、そこにはもう一人のウルフ……いや、ダークウルフの姿があった。彼がここに現れたということは、外の世界でウルフの体を操作していないということ。何があったのだろう。