第八章
ルーティは駆け出し、ウルフとの距離を詰める。右手に青い閃光を走らせ、ばちばちと音を立てながら胸に突き立てて。
「ぇ」
勢いよく突き刺し、貫く。
顔を上げたルーティの瞳からは涙が零れ落ちた。声を上げて泣き出したい気持ちを殺して、ぐっと奥歯を噛み締める。
「なん、で」
ウルフの口から血が零れても、ルーティは応えなかった。腕を引いて引き抜き、地面に横たわる彼を、見下ろして。
僕は、僕の為に。
「こいつっ!」
幻影を断ち切って、前に進む。
「ぐあっ!」
世界を救う為に、自分を優先することしか出来ないけど。蔑まれても、僕は決して諦めない。それでも進むんだ――前へ。
「ああぁあッ!」
絶望の果てに。常闇の先に。
信じて待ってくれている人がいるから。
それが、僕の希望――