第八章
「……諦めないわ」
胸に手を置いて、呟く。ボロボロになりながらも立ち向かおうとするユウ達を目に、自分も闘おうと頷き、決意する。
「ほう。泣いて喚いてもいいのだよ」
「いいえ」
小さく笑みを溢すベンゼルを目に、リムは踏み出す。クレイジーはそんな彼女に視線を注いでいたが、止めようとはしなかった。寧ろ、密かに期待さえ寄せるのだ。
「私は、信じて戦う」
そう言って目を向けた先に転がるルーティは、未だぴくりとも動かない。例え彼が起き上がっても、それで勝てるのかと聞かれれば首を捻ってしまう。――それでも。
彼は、いつだって誰かの希望だった。
「目覚めるとでも?」
ベンゼルは目を細める。
「有り得ない、と否定しておこう。無論例外もいたが、それは紛れに過ぎない」
恐らくリオンのことだ。しかし、彼は“今”を守りたいと強く願い、悪夢から覚醒した。――そう。想いがあれば。