第八章
分からないな。人間ってヤツは――
クレイジーは心の中で呟いた。騙した、にしてもマスターのやり方にただ従っただけ。リムの想いにぱっと来なかったのだ。
「諦めたら?」
クレイジーはリムに目を向けたまま。
「いっそのこと、何もかも諦めればいいんだよ。僕だってね、絶望してる」
――兄さん。
「あき、らめる……」
皆――
「リムぅ!」
視線を落としたその時、声を上げたのはピチカである。現在ファルコに捕らえられている彼女だが、もがきながら。
「諦めないで、リム! 僕はっ」
ピチカはもう一度、大きな声で。
「こんな終わり方、絶対に嫌だから!」
我が儘だっていい。こんな形で世界を終わらせたくない。子供ながらのピチカのひたむきな想いが、リムの心を劈いた――