第八章
◆第八章『光を信じて』
頼れる神は一つ欠けて、残された非力な人間達だけで、一体何が出来るのだろう――
「絶望の淵に沈み、それでも尚抗うか」
踏み出すネロを見つめて、ベンゼルは薄ら笑いを浮かべる。
す、と懐からタクトを取り出せば横に払って。次いでネロをタクトで指すと、ローナとシフォンがそれぞれベンゼルの隣に現れ、虚ろな瞳をネロに向けて構えた。
「降伏し、絶対の忠誠を誓うか」
「後者は無い。プライドがあるのでな」
ユウはネロの隣に並ぶと、腕を組みベンゼルを見据えて。リオンも頷き、静かに構える。ベンゼルは含み笑いを浮かべ、
「いいだろう。お前たち」
まるで、指揮者のように。
ゆっくりとタクトを振れば、他のX部隊メンバーもぞろぞろと前に出てきた。
「指揮に応え、素敵な音楽を奏でよう」
ベンゼルの笑みに、影が差す。
「常闇の鎮魂曲を――」