第七章



声が出ない。

その間にもドンキーはぎりぎりと首を絞め上げていく。口端からは鮮血が零れて。

やがて、意識が朦朧としてくる。痛みに、苦しみにじわじわと瞼が重くなってくる。

「ぁ……」

声が細く絞るように、消えた。

かくんと首が傾いて間もなく、ウルフの腕は力なく垂れて。意識を失ったその体はドンキーが解放した途端、床に落ちて横たわり、鮮血の水溜まりを作り出す。


――情けねえ……こんな、結果で。


ルーティ。


……ごめん、な……


「ウルフ……」

その声に応えてくれる人物は、いない。

「ウルフ……」

それでも求めるように、繰り返しその名を口にした。ルーティは映し出された映像が途切れても尚、呆然と立ち尽くして。


――謝りたいのは、僕だよ。


「っ……ウル、フぅ……!」

守れなかったんだ。僕は結局、守りたい一心で手放していただけだったんだ。

僕は……
 
 
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