第七章



リビングを飛び出して、それから。

ピチカはぼうっとする思考の中、ベンゼルと戦うウルフを目で追っていた。

――ローナを見つけて、それで……

はっと目を開く。ベンゼルの蹴りを躱して後方に大きく飛び退き、ドンキーやシフォンが後ろにいるからとゆっくり息を吐き出すウルフに、ピチカは思わず声を上げた。


「ウルフ! 逃げてぇ!」


何だ。あの餓鬼、起きやがっ――


「ぇ」


ウルフは目を開いて。突如襲った腹部の違和感に、ウルフは微かに首を反らしたが、ゆっくりと視線を落として。視界に映ったのは、緑色の――そう。これは蔓だ。

背中から腹部にかけて、人の腕程の太さの蔓が皮膚を破り肉を裂き、貫いている。

「ッ、か」

その上ず、と追い討ちをかけるように奥に突き進んできて、ウルフの口から血が零れた。朦朧とする意識の中、まさか、とウルフは恐る恐る視線を後ろへと送る。
 
 
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