第七章
「っと」
銃弾をひらりと躱し、拳銃を手に銃口を向ける。しかし、彼が発砲するよりも早くウルフは詰め寄り、拳銃を握った手を蹴り上げて。手放した拳銃が宙を舞い、ウルフはその拳銃目掛けて発砲。
銃弾に弾かれたそれは思いの外遠くへ転がり、フォックスが顔を顰めた隙に鳩尾に肘打ち、そして足払い。床に仰向けになって倒れたところで腰に跨がり、額に銃口を宛がう。ファルコははっと体を起こして。
「てめえっ、ウルフ!」
「うるせえ! まだ分かんねえのか!」
にやり、口角を吊り上げたフォックスの瞳に赤黒い光が宿る。フォックスは笑って、
「ご名答」
――さっきの血。あの匂いはフォックスのものだった。なのに、彼が無傷で現れるというのはおかしい。そんなのは。
「……てめえ、ダークフォックスだな」
冷たい瞳で見下ろし、訊ねる。
だからといってフォックスは怯えた様子もなく、かくんとわざとらしく首を傾げて。
「だったら、どうするよ?」