第七章



「フォックス!」

その声に、ウルフははっと顔を上げた。

見れば、前方から少女を抱き抱えたフォックスが歩いてくるのだ。駆け寄るファルコに、ウルフは立ち上がり、目を開いて。

「おまっ、大丈夫かよ!」
「ああ。それより」

フォックスが抱き抱えていた少女はピチカだった。眠っている、というよりは気を失っているらしく。差し出され、ファルコはとりあえず頷いて両手を差し出すが。

「ファルコ! そいつからっ」

ウルフが咄嗟に声を上げる。


「っは、おせえ」


するとフォックスはにやりと口角を吊り上げ、ピチカを無理矢理ファルコに押し付けてから顔の側面目掛け、回し蹴り。

「ッ、が」

視界がぐらつき、ピチカを抱き止めつつ横倒れになるファルコ。舌打ち、ウルフは拳銃を向けると迷いなく発砲して。
 
 
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