第七章
あの、ならず者集団の頭がねえ。
「置いてかれるなよ」
「言ったな」
ファルコとウルフは共に顔を見合わせて頷くと、奇怪な音楽が鳴り響く廊下へ――
「くっ」
奇怪な音楽が耳に入ってきた途端、びりびりと体が痺れるような感覚と、頭痛が二人を襲う。しかし、足を止めるわけにはいかない。双方は眉を顰めて。
――音が出ている元を断つしかない。
ウルフが視線を向けると、ファルコもちょうど同じことを考えていたのか頷いて。
「っ、ウルフ」
するとファルコは立ち止まり、ウルフも足を止めると前方を見遣った。廊下の床を見てみると、血が飛び散っていて。
誰のだろうか……ウルフは駆け寄り、床の血に触れてみる。まだそれは生温かく、それほど時間は経っていないのだと知って。
「……っ」
それにこの匂い、まさか。さすがのウルフも吐き気が催して、口元を手で覆い隠す。