第七章
しかし、どうしたものか。
廊下は確かに左右に道が分かれているが、明らか怪しいのは此方の奇怪な音楽が聞こえてくる方面。先に飛び出した三人も心配だが、これではどうしようも……
「っ、何を」
普段滅多に使ってやらない頭をフル回転させて策を練っていたところ、ウルフが前に出てきたのを見てファルコは目を開く。
「お前、何を」
「決まってんだろ。奥に進む」
「てめっ、馬鹿! そんなことしたら」
「馬鹿?」
ウルフは振り向いて。
「ここで竦んでる方が馬鹿だろうが」
言ってくれる。ファルコはふらりと立ち上がると、相変わらず眉を顰めながら。
「何か、策でもあんのかよ」
「ねえよ」
おい。一瞬格好良いと思ったのに。
「あるわけねえだろ。が、ここで何もしないよりはマシだ。……それに」
ウルフは目を細めて。
「約束しちまったからな。あいつらが帰る場所をくれてやるつもりはねえ」