第七章



廊下に飛び出すと、聞いたこともないような奇怪な音楽が二人の耳に入ってきた。

「何だ……?」

思わず足を止め、眉を顰めるファルコ。

ぐらり、視界が突然歪んで意識が遠退くその直前でウルフはファルコの腕を掴んで飛び退く。――長く耳にしていけない、そう判断しての行動だった。

「ぁ、ッ」

間もなくファルコは激しい頭痛に襲われて、その場に跪き。幸いにもその痛みはすぐに治まったが、今度は嘔吐を催して。

「ぐ……」

この感覚、気持ち悪い。

音楽を耳にした瞬間、体の隅々に手を突っ込まれて探られているような不思議な感覚に陥った。あの音楽がダークスコアによるものなら恐らく、あのまま耳を傾けていたなら悪夢を見せられたことだろう。

どうやら、特殊な音楽とだけあって聞こえる範囲があるらしい。それに気付いてウルフは腕を引いてくれたというわけか。
 
 
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