第七章



「っ……ダークウルフか」

暗闇に不気味に浮かぶ赤黒い光は彼、ダークウルフの瞳だった。口角を吊り上げながら、その瞳は遠くのスピカを捉えて。

「リーダー、駄目じゃないですか」

かくん、と首を傾ける。

「ばらしたら」

――こいつも、奇怪な曲に侵されて悪夢に捕らわれたのか。スピカは眉を顰めてダークウルフを睨んでいたが、背後のダークファルコが視界の端で動くのが見えて。

「くっ」

蹴りをひらりと躱して振り返りつつ、指を鳴らし、漆黒の稲妻を放つ。

ダークファルコはぎりぎりまで引き付けてから横っ飛びで躱し、駆け出して。

「おや。顔色が宜しくないですよ」

一気に間合いを詰められて怯むスピカに微笑を浮かべて、ダークファルコは肘で鳩尾を打つ。次いで顎を拳で打ち上げ、スピカの視界はぐにゃりと歪んで。

「っ、あ」

決して避けられなかった攻撃じゃない。

甘くてもいい。それでも、俺はこいつらを……ダークシャドウを、倒せない……
 
 
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