第七章
「足音……?」
気付いたスピカは、フォックスの後ろからひょっこり顔を出して。足音は次第に大きくなり、どんどん此方へ近付いてくる。
「なぁんだ。寄り道でもしてたのかよ」
心配なんか別にしてないんだからな。
なんて心の中で意味もなく呟きながら、安心して息を吐き出したその時である。
こつん
「しっ」
迎えに行こうと踏み出したスピカを遮るように、フォックスは腕を伸ばす。ぴくんと揺れた狐耳が、より確実な音を拾う。
「何だよ」
「――足音が」
こつん
「一つ、多い」
遅れてスピカは寒け立った。
リビングにいる人間が此方に出てくるはずはない。それに今思えば、ローナだってはぐれたと気付いたら走ってくるはずだ。
「じゃあ」
こつん
「誰だってんだよ……」
ぴりぴりとした空気が、漂う。