第一章
「いいか? ここは俺とフォックスで止める。リンクはリーダーを連れて逃げろ」
加勢するように両手を突き出し、黒いバリアを張りながらダークウルフは告げて。
「うっわ、死亡フラグ」
苦笑を浮かべるダークフォックスだったが、文句は言わなかった。ダークリンクは黙って頷き、その場を離れてスピカの元へ。
スピカは未だに耳を塞いでいた。なので手首を掴んで引っ張り、先導することは敵わず。仕方なく、ダークリンクは。
「なっ!?」
ひょいとスピカを抱き抱えて。
そのままダークウルフとダークフォックスに背を向け、一旦横目でその様子を捉えては正面に向き直り、勢いよく駆け出す。
「と言っても」
長い廊下を駆けながら、ダークリンクは特に宛ても無く参っていた。このままでは防壁が崩れ、スピカを助けられない。