第一章
「たっ戦えればいいもん」
リムと違って本を手に取るような気にならないのか、ルーティはだらしなくも近くの円形のテーブルの上に腰掛けて。
すると、唐突にルーティの後頭部は何者かによって打たれた。職員によるものかと思い込み、ルーティは慌ててテーブルの上から下りると、振り向き様に頭を下げて、
「すみません!」
謝罪。しかし間もなく、くすくすと笑い声が聞こえてきてルーティは顔を上げる。
「よぉ、餓鬼」
そこにいたのは一般人に変装してるのか、私服姿のダークリンクだった。
「脅かさないでよ……」
「ばーか。良心だっつの」
ダークリンクは笑って、今まさに近くを通り過ぎた職員の男を顎で差した。
ルーティは思わずほっと胸を撫で下ろし。
――よかった。ここの職員は厳しくて、ああいうのを見ただけで一生ここの出入りを禁止するとか何とかって聞いたからなあ。