第七章



「明かりが欲しいんだ。来れるか?」

でも、そんなことをしたら。

そう言いかけて、口を閉じる。いや、考えるんだ。明かりを頼りに奴等自ら現れたとして、それがどんなに都合の良いことか。

「……にぃに」

立ち上がったスピカを不安げに声を洩らし、見上げるピチカ。ここで妹と離れるのは惜しいが、この状況下だ。仕方ない。

「お前はここで待ってな」

出来るだけ、不安にさせないように。

口元に笑みを浮かべ、優しく髪を撫でてやるとピチカはその手を掴んで。両手で柔らかく包み込み、己の額へと誘導。

「気を付けて……」


――戻ってきてね。必ず。


「分かってる」

小さく笑みを溢し、返すとその手は間もなく解放されて。スピカは何となく名残惜しそうに、フォックスの元へ向かう。
 
 
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