第七章
ルーティがその場に立ち尽くしていると、暗闇の奥で小さな光が瞬いた。
光は一旦消えたかのように見えたが、たちまち力強く光輝いて辺りを照らし出すと、暗闇だった空間は実態を明らかにして。
「……これって」
「そう」
ルーティの呟きに、ベンゼルが応えた。
「ここはかつての君の拠点だ」
――そこは確かに、自分のよく知っているエックス邸の内部だった。しかし、立体感がない。試しに少しだけ歩いてみるも。
「残念だが、それは本物ではないのだよ」
ベンゼルは小さく笑みを溢して。
ルーティは足を止める。……どうやらこれは本当に、単なる映像でしかないらしい。
「これが悪夢?」
「正しくは“これから”だろうか」
ルーティは眉を顰めて。
刹那、場面は切り替わってルーティはその光景に目を開いた。――リビング。
ソファーに腰掛け、会話をするフォックスやファルコ。口出すシフォンにドンキーが突っ込み、それを見たローナが笑う。
「ウルフ……」
煙草を吹かせている彼を見つめ、ルーティは呆然と呟いた。――ああ、この映像は。
「君が出ていった直後の物語だよ」