第七章
そうだ。肝心なことを見落としていた。
彼らは影の集団。太陽光に弱い代わりに、本物に勝るとも劣らない力と、影を操ることが出来る特殊能力を備えている。
それは例え誰かの体に憑依していたとしても、同じこと。ルーティは一旦後方に飛び退くと、ウルフの影との距離を取って。
「っこれなら」
つまり、影に近付かなければいい。
「どうだ!」
ルーティは片腕を突き出し、ぱちんっと指を鳴らす。途端、それまで全身を纏っていた稲妻が地面を抉りながら、柱となってウルフ目掛け、真っ直ぐに突撃。
ウルフは反動を付けて起き上がると、横に飛び込み回避して。銃を構え、発砲。
やむを得ず攻撃を中断し、銃弾を躱しながら駆け出す。距離が縮まったところで、ウルフは再び先程のように影から幾つもの棘を具現化させ、攻撃を仕掛ける。
が、そんな攻撃は読めていたのでルーティは喰らうよりも先に高く飛び上がり、ウルフの頭上を軽々と飛び越え、後方に着地。