第一章
「っあ!」
強烈な頭痛が襲って、スピカは頭を抱えた。咄嗟にダークウルフは銃を天井に向け、発砲。はっとスピカは顔を上げて。
「聞いてはいけません!」
そこでようやくスピカは理解した。
先程からダークリンクとダークトゥーンの部屋から繰り返し聞こえてくる前奏が、悪夢を見せているのだと。
スピカは黙って頷き、耳を塞ぐ。
「お前は……大丈夫なのか?」
そういえば、ダークウルフはあの曲を聞いても、耳を塞いでいないというのに無事だ。スピカは心配そうに訊ねて。
ダークウルフは微笑を浮かべると。
「こういったものには耐性があるんです」
――なんて、嘘だけど。
耳を塞いでたら、守れねえじゃねえか。
「とにかく、ここを離れましょう」
ダークウルフは本心を悟られまいとスピカに背中を向けると、ダークフォックスとダークリンクの間に立って。