第七章
「う、ぐっ」
怯んでいる隙に側面に回り込み、足払い。
いとも簡単にウルフの体は後ろ向きに倒れかかり、ルーティは更に背後に回り込むと両手を翳し、青い稲妻を放つ。
「がっ!」
当然、ウルフの体は吹き飛んで数メートルほど転がって。ルーティは次に立ち上がる前に、全身に稲妻を纏って駆け出す。
仰向けに倒れていたウルフが、ゆっくりと上体を起こした。その時にはもうすぐそこまで迫ってきていたルーティを見つめて。
「っ、え」
小さく声を洩らしたのはルーティである。
照明の関係でちょうど此方に向かって伸びていたウルフの影から、先端が尖った棘のような黒い物体が幾つも、顔を出して。
どれもルーティの体を貫くまでには至らなかったが、突然現れたそれに対処する術もなく、頬や腕、太股を掠めてしまい。
「くく……っ」
ウルフは憎たらしい笑みを浮かべる。
「特殊能力を使えるのは自分だけだとでも思っていたか? ルーティ……」