第七章
――やはり、肉弾戦だけでは。
蹴りを片腕で止められ、切り返される前に後方に飛び退く。ルーティは両膝に手を付き、少し、息を弾ませながら考えて。
「は……っ……」
速い。防御が追い付かない。
体への負担も考えて使うのを控えていたが、どうやら積極的に使わないと太刀打ちできないようだ。ルーティは眉を顰めて。
「どうした。終わりか?」
ウルフはとんとんと爪先で地面を叩いてブーツを履き馴らし、小さく笑みを溢す。
「……ううん」
バチッ
「これから、だよ」
ルーティの頬を青い稲妻が走る。
ウルフは構えた。刹那、ルーティは先程より速度を上げて一気に間合いを詰めて。
「っち、こいつ」
ウルフが顔を顰めた時には遅く、ルーティは懐に潜り込むと直ぐ様肘で峰打ち、続けて拳を振り上げ、顎を突き上げる。