――やはり、速い。

ルーティは一旦バク転で後退すると、再び詰め寄って。ジャブ、ストレートと順に仕掛けるがウルフは軽々と躱していく。

これならどうだ、とばかりに回し蹴りを仕掛けるが、ウルフはその場に身を屈めては避けて。次いで、ウルフは地面に手を付きながら足払いを仕掛ける。

「し、まっ」

後方に倒れかかる、ルーティの体。

ウルフは口角を吊り上げると軽く飛び上がり、空中で前転、鳩尾目掛けて踵落とし。

「がっ！」

ルーティの体はまたも地面に叩き落とされ、背中を強く打ち付けて。ウルフは着地、銃を手にしながら歩み寄る。

「っ、ち」

しかしルーティは両腕を立てると目の前まで来たウルフを睨み付け、蹴り上げて。

ウルフは舌打ち、瞬時に後退。その間にルーティは反動を付けて飛び起き、口端から垂れる鮮血を腕でぐいと拭って。