第七章
ウルフが蹴り落とすべく踵落としの姿勢に入ったのを見て、ルーティは咄嗟の判断で天井に向かって稲妻を放って。
反発力でルーティの体は地面に向かって急降下、直撃を免れる為に今度は地面目掛けて稲妻を放ち、降下速度が緩んだところで地面に両手を付き、前転をしつつ着地。
「ほう。大した子供だ」
感心したように声を洩らすベンゼルを鋭く睨み付けて、ルーティは踏み出す。
「よくも、皆をっ!」
駆け出そうとするが、ベンゼルはまたも高らかに笑い始めて。ルーティは足を止め、
「何がおかしいんだ!」
「くく……っ失敬。だがルーティ」
ベンゼルは小首を傾げて。
「よくもよくもと私ばかりを咎めるのは、少しばかり筋違いではないか?」
ルーティは眉間に皺を寄せながら、
「何を、根拠に」
「だってそうだろう。今のこの状況が、必ず有り得なかったものではない。それは君がここを出た時点で、そうなるかならないか……選択肢が用意されていたのだから」