「っ……ベンゼル」

ルーティは顔を顰め、腕を引くとバク転をしながら後退。距離を取ったところで両手を翳し、ベンゼルを睨み付けて。

「お前、だけは」

両腕に稲妻が走る。それは両の手のひらに集中して、電気の塊を作り出すと。

「お前だけは、許さない！」

声を荒げると共に、解き放つ。

丸い、電気の塊は地面に擦れると静電気によって実体を巨大化、周辺を抉りながらベンゼル目掛け、凄まじい勢いで突進して。

もちろん、そんな攻撃を誰かが許すはずもなく、阻止するべく飛び出したのは。

「っ、な」

ウルフだった。

口元に笑みを浮かべ、ベンゼルの元へ走りながら、ベルトに備え付けられている反射バリアを発する小型装置に触れ、自分を囲うように赤紫色のバリアを張り出す。

そうしてベンゼルの前に飛び込んだ彼は、間もなく突進してきた電気の塊をバリアによって跳ね返し、妨害に成功して。