第七章
ルーティはもう一度、ウルフを見つめて。
――ダークスコアによって奏でられた音が、まずは耳から入り込み、脳を麻痺させ、意識を奪う。暗転した視界の中で見せられるのは、自分の一番見たくない……
そう言って、リオンが一旦口を閉ざしたのを覚えている。今そこにいる皆が悪夢に囚われ、苦しんでいるのだとしたら。
「皆……」
ルーティの体がふらり、揺らいだ。
「ほう」
ばちばちっと青い稲妻がルーティの体の表面を走ったが刹那、ルーティは目の色を変えてベンゼルの元へ駆け出して。
立ちはだかるマリオやルイージを躱し、ベンゼルの目の前へ。眉間に皺を寄せ、怒りに満ちた顔で力一杯殴りかかる。
「やれ。今日は人を怒らせてばかりだ」
次の瞬間、稲妻を纏ったルーティの拳はベンゼルの目前、飛び込んだドンキーによって片手で受け止められていて。